静岡市役所では、令和5年度より新たに「認知症施策推進係」という認知症施策に特化した係を新設し、認知症の予防・普及啓発・認知症の人にやさしい地域づくりなどを目的とした施策に取組んでいます。その中でも注力している事業の1つが、「静岡型認知症・MCI予防プログラム」です。このプログラムは、認知症および軽度認知障害(MCI)の発症予防・重症化予防を目的としたもので、運動・脳トレーニング体操・レクリエーションの3種類のエクササイズを行うものです。そして、同プログラムに参加していただいた市民の方へその実施効果を評価するために、今回『認知機能セルフチェッカー』の導入を決めました。
「静岡型認知症・MCI予防プログラム」の効果測定は、認知機能や筋力等の総合的評価を、約20名を対象に1時間で実施する計画でした。そのため、短時間で、人手が多く掛かることなく認知機能を測定できる機器が必要でした。そのような機器を探していたところ、これまでにないVRを使った新しい認知機能測定サービスとして『認知機能セルフチェッカー』に出会いました。
1)短時間で実施できる
実施時間が約5分ととても短いため、短時間で多くの人に実施可能であると考えました。
2)楽しく実施できる
出題パターンが約3万パターンと非常に多く、課題の負荷も適度で、利用者が楽しく実施できると考えました。
3)利便性が高い
利用者が1人で簡単に実施できるため、スタッフの負担が軽減できると考えました。
4)想定結果が分かりやすく、その場で印刷できる
測定結果が3段階(A, B, C)で出るためわかりやすく、また結果を印刷してその場で手渡しすることができるため、利用者の満足度が高いと考えました。
『静岡型認知症・MCI予防プログラム』は、1クール12講座(年3クール)を市民の皆様に提供しています。各講座では、認知症やMCIの予防に繋がる、「運動」「脳トレーニング体操」「レクレーション」を組み合わせて提供しています。『認知機能セルフチェッカー』は、参加者の皆様の認知機能測定を目的として、初回の講座と最終回の講座で計2回実施しています。これにより、本プログラムがどの程度効果があったのかを定量的に検証したいと考えています。
『認知機能セルフチェッカー』の導入により、スタッフの負担が軽減できただけでなく、測定にかかる所要時間も大幅に減らすことができたため、プログラム全体の運営がよりスムーズになりました。また、操作性が非常に簡易なため利用者のストレスや負担も大きく減らすことができたと実感しています。さらに、プログラム参加者の認知機能を定量的に評価をすることが出来るようになったため、今後の効果検証における土台が築けたところも大きな成果と捉えています。
静岡市では、引き続き『認知機能セルフチェッカー』を『静岡型認知症・MCI予防プログラム』の効果測定に使用するのと同時に、市のイベントなどでの積極的な活用も検討しています。より多くの市民の方が健康に暮らしていくことが出来る環境作りの一環として、『認知症・MCI予防』の取り組みをさらに推進していきたいと考えています。
全国の政令指定都市の中でも高齢化率が約31%と比較的高い静岡市。同市役所では、医療・介護に関連する需要と費用が増大し、超高齢化社会への対応が急務であることから、令和4年度より「静岡型認知症・MCI予防プログラム」を独自に展開しています。