認知症の確定診断とは。診断を確定させるまでの流れと診断前に準備しておくべき重要事項も解説

認知症

 

認知症の心配があるが、どのように認知症であると診断されるのだろう?」といった不安を抱えていないでしょうか。

そこで、この記事では、認知症の診断がなされるまでの流れや、認知症でなかった場合でも大切となる認知症予防策について解説します。

認知症の疑いがあるときは迅速な対応が重要なため、ぜひ記事の内容を参考にしてください。

 

 

認知症の診断は大きく2つ

認知症の診断には、「確定診断」と「臨床診断」という大きく分けて2つの方法があります。

これら2つの検査方法を順番に解説します。

確定診断

確定診断は、認知症の原因となっている疾患をはっきりと定める診断方法です。

解剖によって脳を直接見る必要があるため、認知症患者が亡くなってからでないと診断ができない方法です。

従って、「現在認知症の疑いがある状態」では、「確定診断」を受けることはありません。

 

臨床診断

臨床診断は、画像検査や神経心理検査、問診などを通じて、認知症であるかどうかを判断する方法です。

認知症であると診断された場合は、どのようなタイプの認知症であるかも判断してくれます。

臨床診断の内容は診断を受ける方の状況によって異なりますが、基本は上述の2つの方法で診断されることが多いです。

 

認知症であることが診断されるまでの流れ

認知症と臨床診断されるまでには、全部で3つの手順があります。

ここでは、それぞれ順番に解説します。

医療機関で診察を受ける

まずは、医療機関の精神科や神経内科、脳神経外科などの診療科やもの忘れ外来、認知症疾患医療センターなどの専門外来で診察を受けます。

診察を受けるのは、認知症の疑いがある本人とその家族です。

診察時に確認される内容は、これまでにかかった病気や現在抱えている持病、普段の生活状況などです。

正確な判定結果を得るためにも、家族の方は事前に普段の言動や様子などをメモしておくことが望ましいとされています。

 

神経心理学検査

神経心理学検査は、簡単な質問と作業による検査です。

神経心理学検査には一定の数値基準が設けられており、判定結果が基準を下回ると認知機能低下の疑いがあるとされています。

神経心理学検査の代表的な内容は下記の通りです。

改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)

単純な計算や記憶想起、当日の日付などを言葉で質問する検査です。

「長谷川式認知症スケール/長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」とは?MMSEとの違いは?特徴や評価方法、カットオフ値について解説

 

MMSE(ミニメンタルスケート検査)

記憶や日付けなどの質問のほかに字を読んでもらう、図形を書いてもらうなどの単純作業もする検査です。

認知症テスト「MMSE(ミニメンタルステート検査)」とは?長谷川式との違いは?特徴と評価方法(カットオフ値)についても解説

 

時計描画テスト

具体的な時刻を示して、時刻通りに時計を描けるかを検査します

事前に本人に対して「傷つけるための検査ではない」ことを理解してもらい、リラックスした状態で臨んでもらうことが大切です。

 

脳画像検査

脳画像検査では、下記で紹介する機器を用いた検査を行い、脳血流の低下や脳の萎縮度合いを調べます。

CT

X線を使って脳内を断面像として描写する検査です。

 

MRI

強い磁石と電波を利用して脳内を断面像として描写する検査です。

MRIでは脳の萎縮度合いを検査することができます。

脳ドックで認知症が分かる?MRIやCT検査を徹底解説

 

SPECT

放射線検査薬を注射し、脳血流量や体内動向を調べる検査です。

脳機能の低下によって起こる血流の低下を確認します。

 

VSRAD

MRI画像を統計的手法により解析する検査です。

上記の項目を総合的に判断し、認知機能低下の疑いを確認します。

 

認知症の診断基準に基づいて医師が判断して診断する

検査が終了したら、医師からの診察や認知症の診断ガイドラインや診断基準に基づき、医師が認知症であるかを判断します。

このように認知症の診断は、医師が独断で判定結果を出しているのではなく、一連のプロセスと明確な基準の中で診断されます。

 

診断を受ける前に準備しておくべきこと

認知症

認知症診断を受ける前には、医師からの質問に的確に回答ができるように、以下の内容に対して準備しておきましょう。

  • 症状が出始めた時期や、気になるきっかけ
  • どのような症状に気になっているのか
  • 疑いを持ち始めてからの様子
  • これまでにかかった病気や現在治療中の病気
  • 服薬中のお薬に関する情報

診断を受ける前に、これらの情報を詳細にメモしておくことが大切です。

 

認知症と診断されない場合も定期的な認知機能測定が重要

認知症の心配があって検査を受けても、認知症と診断されない場合も多くあります。

しかし、そこで安心してしまうのではなく、定期的な認知機能測定をしていくことが有用だと考えられます。

認知症対策には早期発見が重要

認知症対策には、認知機能の低下を早期に察知することが有用だとされています。認知症患者と健常者の中間の状態に、MCI(軽度認知障害)という状態があります。MCIの段階で適切な措置を講じることができれば、約3割の方が認知機能を健常な状態まで回復できるという報告もあります。一方で、そのままMCIの状態を放置すると、約1割の方が1年以内に認知症の発症に至ると言われています。

 

認知症は早期に発見して適切な対策を講じましょう

認知症の診断が確定する流れや、検査方法などを解説しました。

認知症対策のためには、認知機能を定期的に測定・評価し、認知機能の低下を早期に察知することが有用だとかんがえられます。

認知機能の低下をいち早く察知し、早期に医療機関を受診することで、適切な対策を講じることが可能になります

。ぜひ本記事で解説した内容を参考にし、定期的認知機能をチェックしてみてはいかがでしょうか。

 

※本記事で記載されている認知症に関する内容は、専門家によって見解が異なることがあります。

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